【行政書士が徹底解説】離婚協議書作成ガイド:将来のトラブルを防ぐための確実な書き方⑦
これで安心! 離婚後の生活を左右する「お金」に関する条文の鉄則①
ここまで、離婚協議書の基本的な形式と、曖昧さを排除するための「条文の建付け」技術について解説しました。その技術を最も厳格に適用しなければならないのが、今回のテーマである「金銭面の取り決め」です。
離婚に当たって、子どもがいなかったら、親権の話をすることはありません(当たり前ですが)。しかし金銭的な取り決めをしないまま離婚の手続をするということはないと思って頂いて良いと思います。養育費、財産分与、慰謝料、そして年金分割。これらはすべて、離婚後のあなたの生活基盤を直接的に左右する、極めて重要な要素です。もし、これらの取り決めが曖昧だと、支払いの遅延や未払いといったトラブルに直結し、将来にわたって経済的な不安を抱え続けることになります。
ここでは、行政書士として実務で培ったノウハウに基づき、「確実な支払い」と「将来のリスクヘッジ」を実現するための、金銭に関する最重要条項の具体的な書き方と、条文に盛り込むべき考慮要素を徹底解説します。
1.財産分与:清算の範囲と方法
子供がいなければ養育費は発生しません(これも当たり前ですが)。しかし、夫婦で共同生活を営んでいた以上、夫婦の共同の財産があります。これを「共有財産」と言います。離婚に当たっては、この共有財産を分ける必要があります。これに対して、婚姻前から持っている財産や、婚姻後でもその人の名の下に得た財産(例えば相続で得た財産など)は「特有財産」と呼び、財産分与においては区別されます。
民法§762①「夫婦の一方が婚姻前から有する財産及び婚姻中自己の名で得た財産は、その特有財産(夫婦の一方が単独で有する財産をいう。)とする。」
民法§762②「夫婦のいずれに属するか明らかでない財産は、その共有に属するものと推定する。」
・分与対象財産の特定
条文では、共有財産と特有財産の明確な区別をしなければなりません。対象となる基準日の明記もしておきます。
・個別財産の取り扱い
財産の態様により、それぞれ決めておきます。
✓不動産:名義変更の期限、ローンの残債、評価額と清算金
✓退職金:受給時期が近い場合の分与対象額(算定方法)、不確定な場合の取り扱い
✓保険・証券:解約返戻金、時価での清算方法
・清算条項の重要性
「本協議書に定める以外に、一切の財産分与請求権がないことを確認する」旨の条項を入れておきます。この条項を入れることで、これ以上の債権債務関係がないことを示し、協議書以上の請求をさせない、ということを示すことができます。
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