飛騨高山のお祭大好き行政書士

行政書士のお仕事内容とその他もろもろ。

建設業許可 取得後

建設業許可を取った後のアクション


・許可業者が負う義務

建設業許可を取って、これで一生安泰、なんでもできるぞ!というわけではありません。


許可を取ったら取ったで様々な義務が課せられ、それが履行できないと業務停止、指名停止や許可の取消等の憂き目にあってしまいます。建設業法には許可業者は下記の義務を負うこととしております。一般的な義務に加えて、元請業者が負う義務、さらに元請の特定建設業者が負う義務があります。


一般的な義務

☆変更内容等の届出義務(§11)

重要な事項に変更があった場合、変更事項を届出する必要があります。例えば、代表取締役の変更や専任技術者の変更、会社の住所変更等がこれに当たります。届出には期限があるので、変更事項が発生したら速やかに届出をしなければなりません。

☆標識の掲示義務(§40)

営業所と工事現場にそれぞれ建設業許可の標識を掲示しなければなりません。標識には下記の記載事項が必須です。


・一般建設業、特定建設業の別
・許可年月日、許可業種、許可番号
・商号または名称
・代表者の氏名
・(現場の掲示)主任技術者または監理技術者の氏名

☆帳簿の備付と保存及び営業に関する図書の保存義務(§40の3)

営業所ごとに、その営業に関する事項で国土交通省令で定めるものを記載した帳簿を備え、かつ、当該帳簿及びその営業に関する図書で国土交通省令で定めるものを保存しなければなりません。


帳簿の記載事項は、
・営業所の代表者の氏名及びその者が当該営業所の代表者となつた年月日
・注文者と締結した建設工事の請負契約に関する事項
・発注者と締結した住宅を新築する建設工事の請負契約に関する事項
・下請負人と締結した建設工事の下請契約に関する事項
→主な帳簿、図書として以下の書類を備え、保存する必要があります。
・注文書、注文請書、請負契約書
・施工体制台帳の作成が必要な工事においては施工体制台帳
・特定建設業における再下請負通知書
・完成図
・施工打合せ記録簿
・施工体系図
なお、これらの保存年限は引渡しから5年です。


☆契約締結に関する義務(§18)

建設工事の請負契約の当事者は、各々の対等な立場における合意に基いて公正な契約を締結し、信義則に従つて履行する義務があります。したがって、⾃⼰の取引上の地位を不当に利⽤し、通常必要と認められる原価に満たない⾦額で請負契約を締結してはいけません。

☆工事現場における施工体制の義務(§26)

主任技術者(又は監理技術者)を設置する義務があります。主任技術者は、一定の請負金額以上の工事では専任である必要があります。


元請負人の義務

☆下請負人への意見聴取義務(§24の2)

元請負人は、その請け負つた建設工事を施工するために必要な工程の細目、作業方法その他元請負人において定めるべき事項を定めようとするときは、あらかじめ、下請負人の意見をきかなければなりません。


なお、工事の「工程」とは、工事の施工順序及び所要日数のことです。「作業方法」とは、該当の工事を完成するために具体的に用いられる工法、使用する建設機械等工事の施工方法の細部にわたる事項であり、他の下請負人の工事との調整、工期等の都合から契約に定められた場合又は元請負人が指示した場合を除き、下請負人が選択し決定することができるものを言います。この工程と作業方法等を元請で決めようとするときは、予め下請負人の意見を聞かなければならないということです。ただ、これを怠ったからといって、直ちに契約解除や罰則の適用があるかというとそうではないので、義務的に書いてありますが、訓示的な規定となっています。


☆下請代金の支払い期日に関する義務(§24の3)

元請負人が注文者から請負代金の出来形部分に対する支払又は工事完成後における支払を受けたときは、下請負人に対して、元請負人が支払を受けた金額の出来形に対する割合及び下請負人が施工した出来形部分に相応する下請代金を、支払を受けた日から1ヵ月以内で、かつ、できる限り短い期間内に支払わなければなりません。なお、出来高以上の金額を支払う義務まではありません。ここはノーワークノーペイの原則です。
また、発注者から前払金を受けたときは、下請負人に対して資材の購入、労働者の募集その他建設工事の着手に必要な費用を前払金として支払うよう配慮しなければなりません。

☆迅速な検査・引渡し(§24の4)

下請工事の完成を確認するための検査は、工事完成の通知を受けた日から20日以内に行い、かつ、検査後に下請負人が引渡しを申し出たときは、直ちに工事目的物の引渡しを受けなければなりません。


元請特定建設業者の義務

☆下請代金の支払い期日に関する義務(§24の6)

元請負人が特定建設業者であり下請負人が一般建設業者(資本金額が4,000万円以上の法人であるものを除く。)である場合、発注者から工事代金の支払があるか否かにかかわらず、下請負人が引渡しの申出を行った日から起算して50日以内で、かつ、できる限り短い期間内において期日を定め、下請代金を支払わなければなりません。


つまり、一般建設業では発注者から工事代金の支払いがあった段階で対応すればよかったのですが、特定建設業者は発注者からの支払の有無は問わず、引渡しがあったら下請代金を支払う義務が生じます。


☆施工体制台帳及び施工体系図の作成義務(§24の8)

特定建設業者は、建設工事の適正な施工を確保するため、当該建設工事について、下請負人の商号又は名称、当該下請負人に係る建設工事の内容及び工期その他の国土交通省令で定める事項を記載した施工体制台帳を作成し、工事現場ごとに備え置かなければなりません。施工体系図は、施工体制台帳と一緒に作成して提出します。


☆下請業者が労働関係法令に違反している場合に、指導を聞かないときの通報義務(§24の7)

特定建設業者には、下請負人(当該建設工事に従事するすべての下請負人)に対し、建設工事の施工に密接な関連を有するもので、下請負人の保護、建設工事の施工に伴う災害の防止、労働者の保護及び安全の確保等についての法令で必要最小限の規定に違反しないよう指導すべき義務を課しています。下請負人が法令に違反している場合は、その旨を指摘して是正するよう求めなければなりません。それでも違反を是正しない場合は、速やかに行政庁に通報しなければなりません。


許可には更新があります!

建設業許可は、5年に1度のペースで更新があります。更新申請なので、前回の更新から何らかの変更があり、許可要件を満たさないと不許可になってしまいます。例えば特定建設業が更新の段階で財産的要件を満たさなくなってしまうと、不許可となります。この場合は、事前に般特新規を行う必要があります。